もしも永遠に同じ日を生きることになったら、どうしますか?
「恋はデジャ・ブ」は、1993年に公開されたアメリカ映画で、2014年2月に亡くなってしまったハロルド・ライミスが脚本・監督を務めたコロンビア映画の作品です。
(コロンビア映画は1989年に約5000億円でソニーに買収され、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの一部となりました)
原題は「Groundhog Day」で、意味は2月2日にアメリカやカナダで行われる春の訪れを占う一種のお祭り行事のことです。グラウンドホッグというでっかいリス(とかハリネズミとか)が主役で、春はもうすぐ来るのかどうかを人間が聞きます。もしも冬眠から目覚めても、自分の影を見ると驚いて巣に戻ってしまうため、冬が続くと伝えられているそうです。
え?原題と邦題が違いすぎるって?ほっときましょう(笑)それより、あなたなら、どんな邦題をつけますか?僕なら「春よ、恋」「もしも明日が来ないなら」「今日1日の生き方」「タイム・ループの恋」・・・う~ん、でもやっぱり「グラウンドホグ・デイ」かな?(笑)それか「as good as it gets」。あ!「恋愛小説家」の原題になっちゃった(笑)
さて、ハロルド・ライミスと言えば1984年の大ヒット映画「ゴーストバスターズ」に主演。ビル・マーレイ、ダン・エイクロイドと共に3人の博士のうちの1人を演じ、ダンとハロルドは脚本も担当しました。
本作「恋はデジャ・ブ」は、そんなビル・マーレイを主演のフィル・コナーズ役に起用して、ハロルドが脚本、監督、製作を手がけた作品です。ヒロインのリタ役は、映画「セックスと嘘とビデオテープ」で有名になったアンディ・マクダウェルという女優さん。すごく可愛らしくて、知的で、綺麗ですねヽ(´▽`)/
本作「恋はデジャ・ブ」は、ストーリーがすごく面白くて、突然、毎朝、目が覚めると同じ日(2月2日)!という、いわゆるタイムループに陥った主人公が、何度も何度もまったく同じ1日を繰り返すことしかできなくなってしまいます。
予告編・・・日本語版は見つけられませんでした。。。マジか(^^; 英語版の予告で雰囲気をどうぞ☆
あ、ここからはネタバレを結構含んでますので、以下を読む方は、そのつもりでお願いします<(_ _)>知りたくない方は、作品を見てから読んでね☆
主人公のフィル・コナーズは初めは、何をしても不死身でしかも次の日には、町の人たちの記憶ごとリセットされるようなので、やりたい放題な生き方をしますが、そのうち知れば知るほど尊敬できる女性に真剣な想いを寄せるようになり、なんとかその女性を口説こうとします。
しかし何度やり直しても1日では、とても恋愛を成就させることができません。
愛する人と結ばれることを果たせないまま、死ぬこともできず永遠とループする時間の中で絶望感にかられますが、やがて何かを悟ったように他人の幸せに尽力する毎日を生きようと決意。様々な人たちと触れ合い、たくさんの町人たちを毎日助けるようになり、多くの人から感謝される人物となっていきます。
すると、今度は意中の女性の方が、フィルのことを気にかけ始めるようになるのです。さあ、その後2人はどうなるのか、時間ループからは抜け出せるのか?それは見てのお楽しみ☆
主人公フィルは、はじめ自分の欲望を満たすことしか考えていなかった利己的で自己中な生き方をしていましたが、やがて人間愛に満ちた男性へと成長していくというSFチックなラブ・コメディになっています。
ストーリー的にはゲーテの「ファウスト」に、ちょっと似てるかな?人間が自分を幸せにするために一番よい方法は、他人を幸せにすること。それはナゼなのか、理由を教えてくれているような物語☆
「人間は、自分の欲望を満たそうと躍起になっているうちは幸せになれず、他人を助け親切心から喜ばせようと一生懸命になる、そんな1日を過ごすようになって初めて自分自身を幸せにできる」
そんなメッセージが込められた素晴らしいエール映画ですね。ことわざ?で言えば、「情けは人の為ならず 巡り巡って己が為」ですね☆
ところで本作を何度みても考えさせられるのが、なぜ、どのタイミングで主人公は他人を助けるような1日を繰り返そうと決意したんでしょうか?そのきっかけは何だったのでしょうか?
素晴らしい女性と出会えたことで、自分が受けた親切や善意を誰かに返してみようと思ったのでしょうか?人は誰かから愛情をもらえたら、その愛情に応えようという心理が働くものだからなのでしょうか?それとも諦めから?無欲になったら、自然とほっとけなくなったのかな?
いや待てよ、そういえば、ある浮浪者のおじいさんが死んでしまうのを何度も助けようとするのに、どうしても助けられなかったという体験をしたんだ。その後くらいからだな、変ったのは。どうにもならないこともあると知り、ならば、どうにかできるものは全力で助けてみようと思ったのかな?
ところで、バートランド・ラッセルというイギリスの哲学者の言葉に、こんなのがあります。
「現代の人は、昔は誰もが持っていた『詩心』というものを失ってしまった。その理由としては誰もが時間に追われるようになり、『次のこと』『次の日のこと』に気をとられて、今を謳歌できないからだ」
というような内容です。この映画でも、同じようなセリフが出てきます。
「明日どうなろうと、未来の人生がどうなろうと、今、君と一緒にいられて僕は幸せだ」
常に未来のための今を生きるような打算的な人生は終わりにして、今を幸せにするために毎日を100%で生きよう!というメッセージが込められているのかもしれませんね。
もしくは、数学的な思考を捨て、文学的な人生に酔えと言っているのかもしれません。う~ん、このへん、も一回見て考えてみようっと(笑)
あ、バートランド・ラッセルは、アルバート・アインシュタイン博士と共に、核兵器反対を唱えた「ラッセル=アインシュタイン宣言」でも有名なアノ人ですよ。素晴らしい著書が多いので、知らなかったという人はぜひ読んでみてね。
余談ですが、主人公がピアノを習おうと決意した時にカフェで流れていたのはモーツァルトのピアノソナタで、ピアノ教室で習っていた曲はラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏です。後に、すっかり成長した主人公がパーティー会場で弾いていた曲は、この曲をジャズ風?ダンス曲風?にアレンジしたものかな?ご興味のある方は探してみて下さいね♪
「恋はデジャ・ブ」は、すごく学ぶ点が多く、希望とエールをたくさんくれる名画ですヽ(´▽`)/ダイスキ~♪
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