映画「街角 桃色の店」は1940年公開のアメリカ映画で、天才映画監督
エルンスト・ルビッチの作品です。
ちなみにページ上の2枚の写真は「街角 桃色の店」のイタリア版DVDのパッケージだそうです。なんかオシャレな雰囲気☆
主演は、ジェームズ・スチュワートとマーガレット・サラヴァン。その他フランク・モーガン(店主マトチェック社長役)やウィリアム・トレイシー(店の小間使いペピ役)なんかも、ものすごくイイ味だしてます(笑)
ジェームズ・スチュワートは、フランク・キャプラ映画の「素晴らしき哉、人生!」「スミス都へ行く」や、ヒッチコック映画の「めまい」「裏窓」などへの出演で有名な俳優さんで、“アメリカの良心”と呼ばれているくらい誠実なイメージが人気でした。
ヒロインのマーガレット・サラヴァンは作中では、とても明るく活発な女子を演じていましたが、1960年に50歳という若さで亡くなっているんですね。短命の美人というやつですか。往年の映画スター、ヘンリー・フォンダの最初の奥さんだった人で、フォンダと離婚後、「ローマの休日」や「我等の生涯の最良の年」の監督として知られるウィリアム・ワイラーと2度目の結婚、さらにその後、映画プロデューサーの方など2人と結婚しており、生涯で4度の結婚を経験しているようです。
「街角 桃色の店」、内容はというと、やはりルビッチ作品、ズバリ粋です。シャレてますし、温かい!人間愛で包みこんでくれます。ユーモアが随所にちりばめられているにもかかわらず、感動もして、単なるラブコメで終わらない、人生に希望を与えてくれるエールフルな元気をくれる映画です。(予告編、相変わらず日本語版は見つからず・・・
英語版の予告動画はこちら)
ちなみに上でリンクした予告編の中に、なんと監督のエルンスト・ルビッチが葉巻をくわえながら登場するというオチャメな場面も!この動画でルビッチの肉声を初めて聞きました(笑)「I Hope!」。4分以上もある予告編ってなかなかないですよね(笑)登場人物のマトチェック社長が役柄になりきって自分の店や従業員(すなわち映画の登場人物たち)を紹介していくという斬新なTrailer(トレーラー=予告編)になってます。
エルンスト・ルビッチ(左)と、ジェームズ・スチュアート(右)↓
原題は「The Shop Aroud the Corner」で、直訳すると「かどにある店」ですが、どうも慣用句的に「身近のなじみ店」「手近で手を打つ」みたいな意味もあるとかないとか。
本作の内容も、スクリューボール・コメディと言っていいのかな?つまり、初めはそれほど惹かれあってなかったり、いがみ合っていた2人が、ひょんなことから恋に落ちるという。そんな「灯台下暗し」的な内容なので「理想の相手が意外に近くにいた」という意味で「かどにある馴染みの店」というタイトルになっているのかな~?なんて思ったりもします。加えて、舞台となっているのは主人公2人が働いている街角にあるショップ内になってもいますから、かけてるのかな~。
ちなみに原作はチェコの劇作家ニコラウス・ラズロという人が書いた戯曲(舞台劇)だそうです。戯曲というのはwikipediaによると、演劇を上演するために執筆された脚本のこと、または、台本形式で執筆された文学作品だそうです。
ただ、邦題だけは解せません。なぜ「街角」だけをフューチャーしたのか、謎です。あとは「桃色の店」って・・・(汗)読み方は「ピンクの店」という説もあるようですが。。。まあ、ほっときましょう(笑)
あらすじは、(ネタバレを含むので読みたくない人は気をつけてね)舞台はハンガリー。文通を通して惹かれあっている2人が、実は同じ職場で働いていて、いつもケンカばっかりしている者同士だったという(笑) さて、どちらが先にそれに気づき、どうアプローチするのか?果たして仲良くなれるのか?という大筋(synopsis:シノプシス)です。なんだありがちという印象を持ってしまった方のために、もう少しだけ教えておくと、主人公は店をクビにされ、オーナー社長は自殺未遂をします。これで、どんな内容か見ないとわからなくなったでしょ?(笑)
「街角 桃色の店」ではないけどれど雰囲気はこんな感じということで↓(笑)
ジェームス・スチュワートとヴァージニア・ブルースfrom「踊るアメリカ艦隊」
ちなみに、この映画の一番好きなシーンは、店のオーナーであるマトチェック社長が仕事終わりに、クリスマスなのに1人で家に帰りたくなくて、社員を誘っておいしいものでも食べに行こうと誘うんですが、この社長、社員思いなところがありまして、家族が待ってる社員や恋人がいる社員には、それぞれ楽しいひとときを過ごせるようにと気をつかいます。
その結果、なかなか一緒に食事に行ってくれる人が見つからず半分あきらめかけていた時に、田舎から出てきたような、今で言えば学生のアルバイトのような、お金もなく、特に家に誰かが待っていてくれているわけでもないような若い社員を見つけます。この時の2人のやりとりが最高です。なぜか泣けてきて社会ってうまくできてるなと思えました。
この青年が1人で予定もないと知ったときの社長の幸せそうな顔といったら(笑)権力やお金を持っている人の喜びが、単なる1人の何もない青年が存在してくれていたために生まれるという、この構図がなんともいえない喜びをもらたしてくれます。わかりますかね?この粋な演出☆あまり説明してしまうと無粋なのでやめときますが、すごく調和的なシーンだと思います。何度観てもこのシーンで思わず「やってくれた!」と興奮してしまいます(笑)
あと、ラストシーンが男性の足のアップで終わるラブコメ・ロマコメが、今だかつてあったでしょうか?(笑)斬新だわー。
さて、「街角 桃色の店」ですが、1940年に公開された後、なんと1949年に
ジュディ・ガーランド主演でリメイクされたみたいです!お相手の男性はヴァン・ジョンソンという俳優さん。当時のアイドル的な青年で歌えて踊れる俳優さんみたいですね。フランク・キャプラの「愛の立候補宣言」にも出演しているみたい。
リメイク版の題名は「In the Good Old Summertime」。直訳すると「古き良き夏の日」。なんて素敵なタイトルなんでしょうか☆こちらはミュージカル映画になっていて、舞台となっているお店がルビッチ映画ではオルゴールやカバンを売っているセレクトショップみたいな感じでしたが、ジュディ・ガーランド版では音楽ショップに。店内に楽譜や楽器が置いてあり、主人公達が歌いながらピアノを弾いたりしていますね♪(
予告編はこちらで見れます)
さらに、もう一度リメイクされてます。こちらはルビッチ版と同じく普通の映画として。ただ、内容や設定は現代版に大幅に変っていて、原作では文通をしていた主人公が、なんとパソコンを使ってメル友になってます(笑)
メールが届くとPCから「ユー・ガット・メール」という音声メッセージが鳴るという。そうです、もう1つのリメイク映画は1998年公開のトム・ハンクス&メグ・ライアン主演映画「ユー・ガット・メール」です。(
英語版の予告はこちら。日本語版は見つからず・・・)
ただ、結末もセリフも雰囲気も結構変ってるので、ほぼ別物です。この映画も雰囲気いいし、大好きなのですが、やはり本家エルンスト・ルビッチ監督の「街角 桃色(ピンク)の店」の方が個人的には断然、好きです。
あとは、ブロードウェイ・ミュージカルで「She Loves Me」という作品があるのですが、こちらは「街角 桃色の店」にインスパイアされて作られたそうです。
「
街角 桃色の店」を観ると、「紅の豚」じゃないですが、“人間も捨てたもんじゃない”と思えます。まだ観たことがない方は、ぜひ一度☆オススメですよヽ(´▽`)/
⇒
元気が出る映画<ラブコメ編>一覧ページへ戻る